東京の街がつぶされている。
大きなビルも有名な建物もいつの間にかフェンスの中でつぶれてしまっている。
思い出や人々の時を刻んだ瓦礫。
藤堂はその瓦礫に積層ガラスをはさむ。
ガラスをはさみ込んだ藤堂の彫刻は その地の物語を浮かばせる。 人々の営みも 刻んだ時間も……。
「場所の固有性」をテーマに制作を続けるアーティスト・藤堂。
彼は1969 年東京生まれ。 97年に多摩美術大学大学院彫刻専攻を修了後、デュッセルドルフ芸術大学で学び、2003 年にダニエル・ビュレン教授よりマイスターシューラー(M.A.)を取得。
人間の歴史を物語る「瓦礫」や「本」を素材とした作品で知られている。
今回一穂堂では、ホテルオークラ東京、神宮プール、多摩ニュータウン団地等の 建築解体時に出た瓦礫を素材に制作した作品10数点で構成するインスタレーションを 中心に藤堂の世界を紹介します。
青野恵子