松原賢
松原賢「琳派る」
2022年5月19日〜5月29日
5月19日からは「松原賢 琳派る」を開催いたします。
今年2月、ippodo NYで大きな衝撃を残した松原賢。
昨年春に銀座一穂堂で発表した「藤」も大好評でした。
今回は「松」をはじめとした、琳派に挑戦します。
Exhibition
展示風景
帰国の日、ケネディ空港の出発ロビーで、ボンヤリと濃厚な16日間を思い返していた。
そこに嬉しいメールが飛び込んできた。
「カオス」がミネアポリス美術館への収蔵が決まったと!
人は人との出会いで思いもよらぬ方向へと導かれて行くように、作品も然り。
1983年に制作したこの作品は、私と共に朽ちて行くものと思っていた。
或るコレクターの方の言葉を切掛に、ニューヨーク展に発展し、ミネアポリスのコレクションに。
世界がこのような状況の時に、此の作品の運命を感じざる得ない。
「カオス」制作から39年。
封印した筆を今、私は楽しんでいる。「藤」に続き今度のお題は「松」。
琳派っている。
松原 賢
2022年3月、早春のニューヨーク。
この季節 この街はアジアのアート工芸に染まるAsia Week。
未曽有のコロナショックで誰もが予測の出来ない世界となったこの時期、Ippodo New Yorkでの 松原賢展「カオスから宇宙へ 」は時代が求めるテーマでもあり、魂で描いた絵が大きな話題となった。
ギャラリーに訪れた美術関係者やコレクターは、松原賢の二河白道屏風の前で身動き出来なかったと聞く。
39年前、難しい浄土信仰の仏画「二河白道 」を、師・井上三綱のタッチを残しながら、混沌としたカオスから阿弥陀の白い道へと続くこの絵を 全身全霊で描いたのだった。
その6曲1双の屏風はミネアポリス美術館に収蔵が決まった。
ニューヨークの余韻を持ち帰りながらも、昨年の藤花図に引き続き絵筆で松に挑んでいる。
枕草子に「めでたきもの……花房ながく咲きたる藤の花の松にかかりたる。」という一節があり、松に絡む藤は男性に寄り添う女性のようで、江戸時代には立雛の装束、古歌にも度々出てくる。
あの抽象画カオスを描いた松原賢は 絵筆を松に託し 琳派に挑んでいる。
Ken Matsubara
松原賢
略歴
1948 富山県上市町生まれ
1973 独立美術(東京都美術館)
1976 井上三綱に師事
1977 第一美術展 第一美術賞(東京都美術館)
1987 上野の森美術館絵画大賞展 特別優秀賞受賞(上野の森美術館)
1990 「次代をになう作家展」(箱根彫刻の森美術館)
1991 「’91富山の美術」(富山県立近代美術館)
2001 「栃木県美術の二十世紀II 千年の扉」(栃木県立美術館)
2006 「松原 賢展」(エスパス・ベルタン・ポワレ ギャラリー/パリ・フランス、TKW20ギャラリー/ケルン・ドイツ)
2008 「松原 賢 -生々流転」(主催・富山近代美術館/富山県)
2015 個展「景」(銀座一穂堂)
2016 個展「A Solo Exhibition of Japanese Painter Ken Matsubara -Distillation- 」(Ippodo New York)
2019 個展「松原 賢 -日 月 空 海 図-」(和光ホール)
Ippodo New York 67st こけら落とし「KUKAI - Sun and Moon -」
フィラデルフィア美術館 襖絵「日月空海図」収蔵
2020 個展「日月空海」(銀座一穂堂)
2021 個展「松原賢『藤』を描く」(銀座一穂堂)
2022 個展「Chaos to the Cosmos」(Ippodo Gallery New York)
ミネアポリス美術館 屏風「カオス」収蔵
その他、全国各地で個展、グループ展等、多数