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田端 志音

田端志音の仕事 書・絵・陶

2023年2月24日〜3月5日

Exhibition

展示風景

素晴らしい作品に出会う度、見たもの聞いたことを心おぼえに手控えとしてメモに残すという習慣はかれこれ 30 年以上続いており、いつしか私にとってライフワークとなっていました。
作品そのものだけでなく 箱書きや仕覆 添状など 付属の品々をも拝見すると その作品がいかに愛されてきたのかということを感じることができます。
携わってきた人びとの想いを纏って長い年月今日まで歩んできた作品を、私は毎回ワクワクしながら紙に描き写してきました。
三次元の作品を二次元の紙に書き写し、その覚え書きから私のフィルターを通してまた三次元の作品に立ち上げる。
そうした作業により出来上がった作品群を“ 写し”として発表させていただきます。
写しというと 如何にオリジナルの作品に近づけるかということが大事なようにも思います。
しかし私の場合は、元物を拝見したときの自分の感情も含めて作品に落とし込んでいる分量が多いように思います。
私が体験したひとつひとつの作品との出会いを、作品を通じてご覧になる方々にも追体験いただければ嬉しいです。

田端 志音

志音さんとめぐり逢ってもう30 年になる。
若き日、大阪の美術商・谷松屋戸田商店に勤め、見るモノ、触れるモノ、会う人、話す人、そのすべての最上級なモノと人のエッセンスを得て学び 人間を形成し 陶芸家になった。
彼女の真面目さと輝くような感性は、江戸中期の乾山や仁清を写し 伊賀を目指した。
2004 年、軽井沢に移り穴窯を築き 作陶に励む彼女の作品は 茶人や有名料理店の目に留まり、今では京都・野村美術館で個展を隔年開いている。
野村美術館所蔵の作品を長年描き貯めていた「志音手控え帳」特装本を2022 年11月に出版。
同時開催の個展では、その手控え帳に描かれたやきものを彼女が制作、一緒に展示して話題を呼んだ。
今回、銀座一穂堂ではその凱旋展のような個展となる。誰も見たことのない展覧会、本当に楽しみである。

青野恵子

Shion Tabata

田端 志音

1947年北九州生まれ。
1985年より五年間、大阪の茶道具商「谷松屋戶田商店」に勤める。
そこで数々の名品を実見する機会に恵まれ、その貴重な体験を通して、1991年、作陶の世界に入る。
江戶時代中期の京都で活躍した尾形乾山を師と仰ぎ、乾山の写しを追求しながら、作陶を学ぶ。
京都・大徳寺如意庵の立花大亀老師、日本料理の料亭「吉兆」の湯木貞一翁、「谷松屋戶田商店」の戶田鍾之助氏、陶芸家の杉本貞光氏から指導を受け、お茶の世界、陶芸の世界を学んだ。
2004年、軽井沢に窖窯を築く。
2006年以降、野村美術館にて1年おき(偶数年の11月)に個展を開催。
2014年に自身の作品集『四季浴』を刊行。現在、「柏屋」「叶匠寿庵」「吉兆」「子孫(こまご)」「壽山(すやま)」「白(つくも)」「天㐂」「伯雲」「未在」「三嶋亭」(50音順)などの日本料理店に器を納めている。

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