素晴らしい作品に出会う度、見たもの聞いたことを心おぼえに手控えとしてメモに残すという習慣はかれこれ 30 年以上続いており、いつしか私にとってライフワークとなっていました。
作品そのものだけでなく 箱書きや仕覆 添状など 付属の品々をも拝見すると その作品がいかに愛されてきたのかということを感じることができます。
携わってきた人びとの想いを纏って長い年月今日まで歩んできた作品を、私は毎回ワクワクしながら紙に描き写してきました。
三次元の作品を二次元の紙に書き写し、その覚え書きから私のフィルターを通してまた三次元の作品に立ち上げる。
そうした作業により出来上がった作品群を“ 写し”として発表させていただきます。
写しというと 如何にオリジナルの作品に近づけるかということが大事なようにも思います。
しかし私の場合は、元物を拝見したときの自分の感情も含めて作品に落とし込んでいる分量が多いように思います。
私が体験したひとつひとつの作品との出会いを、作品を通じてご覧になる方々にも追体験いただければ嬉しいです。
田端 志音