作家コメント
四季の豊かな日本の大切な風物詩のひとつ、雪景色。
2020 年 1 月末、コロナ禍のニュースに溢れる直前に、
念願だった釧路・鶴居村を訪れました。
眼の前に百羽以上の鶴の群れ…
ふわりと舞い降りる瞬間の優雅さ、求愛、佇まいの美しさに、
富士山に比肩する日本の象徴を見たと強く感動しました。
日本文化にとって最も大切な、季節の移ろい。
富士山にはいつもそこに在るという確たる象徴性がありますが、
渡り鳥の鶴は四季の草花と同じように、
絶景にはタイミングがあります。
「移ろい」とは、桜や紅葉が散る時に感じるように、
「また逢う日まで…」という感傷を誘います。
それでも季節は裏切らず、必ず再びやって来てくれる。
日本人はこの自然の呼吸に合わせて文化を育んできたのでしょう。
見慣れた景色も新鮮に感じさせてくれる
様々な雪化粧を今回のテーマにしました。
中野 大輔