岸野寛は 水墨画の父と陶芸家の母のもと 四男として京都に
生まれた。高校を卒業後 伊賀で 7 代続く土楽窯・福森雅武氏の下で
十数年間修行し、2004 年伊賀丸柱に寛白窯を築窯。
彼は古陶の名品に出逢い それらを凝視し そのモノの持つ時代背景や
職人の意識の高さに 感銘を受け自身の作陶に向かう。
古陶の美や魅力に学びつつ 使うモノとしてのやきものは、
花は生けやすく 器は料理を引き立てるように!と、
自分の造ったモノが 人の暮らしの喜びになればと考えている。
そのような器は自分自身の暮らしが空気となり滲む匂いとなると言う。
それこそ 彼の住む伊賀丸柱の瀟洒な民家では 四季の自然と家族の
笑顔と豊かな日々が営まれ 岸野寛の作陶が続く。
伊賀、信楽、粉引、志野、高麗など 幅広いやきものは原土から
陶土を作り 釉薬を作り 薪の太さまで考えて自分で割る。
ストイックなまでの高いこだわりと真剣さと集中力が 岸野寛の
やきものであり 見る者は背筋が伸びる。
今回一穂堂での初めての個展では 古陶の名品と
見まちがえるほどの壺や茶碗、食器が並ぶ。
一穂堂 青野