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松原賢

松原賢の龍

2023年11月17日〜11月26日

Exhibition

展示風景

無性に龍を描きたくなる時がある

「……近頃、 良い龍が無いな」
呟きを聞かれてしまった

『なら、龍描きましょ「龍展」やりましょ!』
名人に私の最も古い引き出しを、又 開けられてしまった

となれば親愛なる龍たちを訪ねて
日光を皮切りに京都、奈良、四国、九州、山口、 岡山、 岐阜…と
龍行脚の旅

子供の頃にに戻り、夢想は広がり、組んず解れつ
久しぶりに龍との戯れを愉しみました

松原 賢

井上三綱を師として画家の道を歩んで来た松原賢。
具象と抽象の混ざった絵を描き 特に音をイメージした立体的な表現は長く彼のオリジナルの絵となった。

2022年、Ippodo New Yorkの展覧会で発表した代表作と言える12曲屏風「二河白道・カオス」がミネアポリス美術館に収蔵された。
同美術館は日本美術コレクションではアメリカ屈指を誇り、2023年9月には美術館特別展として「二河白道屏風」だけの「Chaos」展を企画、松原賢は画家として世界に認められた。

その彼は子供の頃 山道を一人で歩いて 大岩山の石仏不動明王に度々会いに通ったと言う。
石仏が少年・ケン坊の親友だったと紹介された時、松原賢の絵の宗教的な表現や 深い感受性と奥行きの深さを理解したように思えた。

松原賢は長く抽象画を描いていたが、林屋晴三氏に富士山を求められてから具象も描くようになった。
具象の富士山 松 藤も また美しく深いのである。
令和6年の干支が辰という事で、2年前「龍を描いて欲しい」と お願いした。
少年・ケン坊が白い紙があれば 龍ばかり描いていた事は知らなかった。

龍は古くは中国から伝わり 日本神話 仏教 民話にも出てくる想像上の動物で 様々な伝説が 残されている。
水中に住み 天空を自由に飛ぶ龍は 人間の憧れであり、雷 稲妻の光と共に現れ大雨を降らす事から 雨乞い信仰にも繋がっている。

冬の称名滝で龍を見たと言う松原賢。
一穂堂のこの企画が決まってから 寺の龍の絵や彫刻を求めて日本中を旅した彼が描いた龍、見事な松原賢の龍が銀座に現れる。
そして 近い未来 彼の描く龍が有名な寺の法堂の天井を舞う時が必ず来る。
きっと来る。きっと来る。

◇井上三綱(1899〜1981)…画家。西洋と東洋の融合画風はイサムノグチ、ロバート・オッペンハイマー、ベン・シャーンなどにその実力を認められた。

松原賢

Ken Matsubara

松原賢

略歴
1948 富山県上市町生まれ
1973 独立美術(東京都美術館)
1976 井上三綱に師事
1977 第一美術展 第一美術賞(東京都美術館)
1987 上野の森美術館絵画大賞展 特別優秀賞受賞(上野の森美術館)
1990 「次代をになう作家展」(箱根彫刻の森美術館)
1991 「’91富山の美術」(富山県立近代美術館)
2001 「栃木県美術の二十世紀II 千年の扉」(栃木県立美術館)
2006 「松原 賢展」(エスパス・ベルタン・ポワレ ギャラリー/パリ・フランス、TKW20ギャラリー/ケルン・ドイツ)
2008 「松原 賢 -生々流転」(主催・富山近代美術館/富山県)
2015 個展「景」(銀座一穂堂)
2016 個展「A Solo Exhibition of Japanese Painter Ken Matsubara -Distillation- 」(Ippodo New York)
2019 個展「松原 賢 -日 月 空 海 図-」(和光ホール)
Ippodo New York 67st こけら落とし「KUKAI - Sun and Moon -」
フィラデルフィア美術館 襖絵「日月空海図」収蔵
2020 個展「日月空海」(銀座一穂堂)
2021 個展「松原賢『藤』を描く」(銀座一穂堂)
2022 個展「Chaos to the Cosmos」(Ippodo Gallery New York)
   ミネアポリス美術館 屏風「カオス」収蔵
その他、全国各地で個展、グループ展等、多数

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