1996年、品川の新高輪プリンスホテルの一隅にざくろ坂ギャラリー一穂堂をオープンした。
その細長い煉瓦のギャラリーに辻村塊の作品が並んでから20年になる。
東京での初個展ということで行列ができるほど人が来て、大壺も花器も茶碗もぐい呑みも大小食器も驚くほど売れた。
今に至ってもあれほどやきものが売れて包んだことがない。
辻村塊は一穂堂の歴史とレコードを作った。
その彼の個展を銀座では2年に1度催しているが、桜井の山に作品を選びに行く度、 塊の成長が見えて嬉しくなる。
もう 塊くんとは呼べないくらい立派な陶芸家になった。
作陶に対する真摯な態度には頭が下がる。
苦しみながら 楽しみながら 土を捏ね 轆轤を回し 焼成し、父君 辻村史朗の水間の山の陶塚のようになってきた。
今回、辻村塊は最近の自信作の志野、井戸、黒織部、粉引、伊賀など 様々な挑戦の100碗を持ってきた。すごい茶碗が並ぶ。
青野恵子