木地師は 日本の伝統工芸の中でも縁の下の力持ち、西端良雄は輪島で木地師の家系に生まれ、 彼の轆轤技術は有名漆芸家達から信頼されてきた。
ある時 輪島塗の分業制に疑問を持ち、1人で全てを完成させる椀を作るようになった。
その頃いただいた彼の椀は もう2回塗り直し 毎日使っている。
西端の技術力を見込んで 小鼓の胴を作ってもらうようお願いした。
室町・桃山・江戸時代の小鼓が良い音を発するのと、小鼓を打つ人口が減った事もあり、 新しく小鼓の胴を作る職人がいないことを 大倉源次郎氏に聞いての事だった。
轆轤技術があっても 小鼓の胴は楽器であり 彼には凄く難しい仕事となった。
試行錯誤し 能楽の大倉源次郎氏、歌舞伎の田中傳左衛門氏 家元両人に指導や助言・協力を得て やっと彼らが認める音の出る小鼓の胴が出来た時 15年の歳月が流れていた。
この度NHK「美の壺スペシャル『和楽器』」に 彼の作る小鼓の胴が取材される事になった。
和楽器は職人の工芸技術と演奏家の鍛錬の芸で美しい音を放つ。
この歴史を辿る事も意味がある。 私も含めて 日本人は日本文化・工芸芸能をじっくり学びたい。 そんな西端良雄 轆轤技術の証明の個展となる。
青野恵子