瀬本容子のテンペラ画に出逢って27年になる。
その不思議な絵はルネッサンスの香りがした。いつの時代のどこの国の人だろう……。
彼女は若き日、印象派を学びにパリに留学、そこで装飾絵画や宗教絵画 イコンなどの印象を強く受ける。パリからイタリアに通い続けたと言う。
帰国後 テンペラ画を東京藝術大学の田口安男教授らと研究、染織家の柚木沙弥郎氏や故・有元利夫氏らと関わりながら独自の金地テンペラ画を描いてきた。
ラピスラズリーのブルーやイカ墨のセピア色など、自然の色をご自身で作り、本金箔を貼る贅沢な額も瀬本容子の絵画の特長。
一穂堂での個展はざくろ坂ギャラリーから始まり、「徹子の部屋」出演後の自由学園講堂や一穂堂ニューヨークの展覧会も含めて24回目を迎える。
今回は先生のアトリエから私好みの作品を40点選んできた。美しい絵が並ぶ。
93歳になられる 瀬本先生のご健康とご長寿を祈り、いつまでも絵を描かれますように……。
青野恵子